トマス・モラン(1837~1926)

トーマス・モラン トーマス・モラン(1837-1926)は、イギリスのボルトンにある労働者階級の織工の家に生まれた。19世紀半ば、繊維産業の工業化に取り残された一家は、1844年にフィラデルフィアに移住した。10代の頃、モランはフィラデルフィアの彫刻事務所「Scattergood and Telfer」に弟子入りしたが、3年で退社し、絵画を志すようになった。海洋画家であった兄のエドワードのもとで数年間修行し、イギリスの風景画家J.M.W.ターナーの作品に生涯にわたって魅了された。

モランの大きな転機となったのは、1871年、イエローストーンの地質調査に同行し、写真家のウィリアム・H・ジャクソンと協力して、イエローストーンの魅力的な自然の美しさや壮大さを描いた作品を制作したことである。イエローストーンを描いたモランの作品は注目を集め、イエローストーンがアメリカ初の国立公園に指定されるきっかけとなった。

その後数年間、モランはアメリカ西部での展覧会に同行し、ヨセミテ、グランドキャニオン、コロラド川、聖十字架山などを訪れ、そこで出会った自然の美しさを雄大な絵に描き上げていった。その後もモランは旅を続け、出会ったものをデッサン、エッチング、絵画などに表現していった。今日、モランはアメリカ西部の神話を作る上で重要な役割を果たしたと言われている。

モランの代表的な作品は、スミソニアン博物館(ワシントンD.C.)、ナショナル・ギャラリー(ワシントンD.C.)、メトロポリタン美術館(ニューヨーク)、フィラデルフィア美術館(フィラデルフィア)、シカゴ美術館(シカゴ)、ブルックリン美術館(ニューヨーク)、ボストン美術館(ボストン)、ホワイトハウス・コレクション(ワシントンD.C.)などの永久コレクションに収められています。

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