カンボジアの芸術とデザインは、紀元802年から1431年まで続いたクメール帝国(アンコール帝国)の時代に全盛期を迎え、現代カンボジアの前身となった。北西部の拠点であるアンコールは、この時代、帝国の首都として機能していた。有名なアンコール・ワットを含むそのモニュメントは、この時代の東南アジア本土の大部分に広がっていた文明の富、権力、豊かな文化の重要なシンボルであった。アンコール時代は、新しい王が即位するたびに激しい権力移動が繰り返された。
青銅(サムリット)は、カンボジア文化にとって特に重要である。銅と錫を含む金属の混合物である青銅は、アンコールと帝国全体で崇拝されたヒンドゥー教と仏教の神々に形を与えるために使用された。青銅器はまた、カンボジアの芸術的達成の頂点を示すものでもあり、先史時代から続く東南アジアの青銅器工芸の長い歴史の上に築かれたものだった。実際、カンボジアを含むこの地域で最初の青銅鋳造が行われたとする学者もいる。青銅の宗教的、美的文脈に加えて、この金属は「高貴な」素材と考えられていた。最近、アンコール・トムの王宮の近くで、特に洗練された青銅のアトリエの証拠が発見され、帝国の芸術的生産と製造方法に光が当てられた。この発見は、ブロンズ冶金が帝国の政治エリートにとって重要であったことを浮き彫りにしている。彼らは、ブロンズ冶金製品に依頼して宮殿や寺院を装飾したり、神々の像で支配を正当化したりすることで知られていた。